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建築講義こぼれ話
設計課題「これからの集合住宅」
1年生の設計演習の課題で、「都市に棲む」−集住空間の設計―という課題をやっています。
集合住宅+複合施設(都市における集住空間の核となる施設、地域コミュニティの形成に役立つ提案を期待されている)を自由に設定するというものですが、学生が各自設定した複合施設が興味深いのです。面積がそれほど広くないので、複合施設の用途は制限されてしまうのですが、
- 高齢者の為の施設(デイサービス等)
- 幼児・児童の為の施設(保育所・児童館等)
- 幼児・児童と高齢者の為の施設(世代交流を図る等)
- SOHOに適した住戸+アネックス
- 屋上庭園や菜園、森を作る、温室を作る等緑に注目したもの
- 音楽や舞踊等趣味の共通する人の住む集合体+ホールやスタジオ
- 寺や墓地を持った集合住宅
- シェアして住めるプラン(単身者用、留学生を対象としたもの等)+ネットカフェ
- 等
現在の時代を感じさせるものとなっています。
そのなかでも、都内で墓地を確保したいという、家系・家族の安住を前提とした考え方と、
あえて、結婚や家族と暮らすことにこだわらず、単身者が気の合った人と住んだり、いろんな人との交流が有ってよいのではという両極端の考え方がでてきたのが興味深い。
集合住宅の形式として、一般的には、3DKや2LDKとかいって、子供が一人か二人いる夫婦が住むという設定がされていることが多いのですが、家族の変化に対応して、これからはもっと多様な住み方が増えてきそうな予感がします。特に、高齢者だけでなく、結婚適齢期といわれる年代の独身者が増えていることが住まいに影響を与えることは確実でしょう。
そのあたりのことは、僕の高校、大学の同級生で、現在京都大学建築学科の助教授でもある建築家の竹山聖著「独身者の住まい」廣済堂出版に、ウンチクたっぷりに予言めいて書かれているので、ぜひ読まれることを薦めます。