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住まいづくりの周辺

建築家の周辺

家を建てるんだけど、困っているので相談に乗って欲しいという話が、私の周辺で最近続いている。 それなら最初から私に設計を依頼したらどうなんだと思うのだが、こちらのPR不足で、「住宅を設計しているとは思わなかった」「建築家に設計を依頼するほどの事ではないと思っていた」というような話が多い。いざ、やり始めてから、不安になって相談してくる場合が多いのである。 参考に例をあげておくと、

  • ケース1
    ハウスメーカーのパンフレットを散々見比べて、一番丈夫そうだと判断したハウスメーカーに頼んだとのこと。フリープランということで、設計者とインテリアコーディネーターが打合せに出てきて、間取りの相談には乗ってもらったが、あとは、決められた仕様のなかから選ぶように言われて、不満が出てきたらしい。仕様以外の希望をいろいろ出したら、高くなりますよと言うだけで、ほとんど取合ってもらえなかった。フリープランのプランとは、広い意味でいう計画ということではなく、間取りだけをさすらしい。
  • ケース2
    建築条件付の土地だったので、言われるままの施工会社に設計から依頼したとのこと。奥さんが、住み方とかにこだわりがあって、注文を相当出してそれなりに設計は出来上がったが、設計者との打合せはそこまで。建築が始まると営業マンと現場監督との打合せだけになってしまって、設計的な相談をしても的確な回答がなくて不安になって相談に来られた。 現場を見せてもらったら、設計図が基本図程度しかなく、半地下の駐車場へのスロープが急なので、よく調べてもらうと床の高さを間違えて施工していたのが判明したり、設計での検討不足で梁型が天井に出っ張ってきて、当初の天井高さが確保できていなかったりと、いくつかの問題が生じていた。

上記の共通点は、住まいをつくるいろいろな場面での相談相手としての設計者の不在だと思う。 ハウスメーカーや建売の場合などで、設計料が極端に安い場合、間取りの決定と確認申請までは設計者が関与するが、その後までは関わらない事が多い。それこそ、多大な費用を掛けて商品開発をしているのだからということなのだろう。実際は、現場が進行している時に、図面で理解出来なかったところや思い違いが生じて相談に乗ってもらいたくても、上記の場合の設計者は、設計料として現場監理をするだけちゃんと貰っていないから、手間のかかる現場には来ない。良心のある設計者は、ほんとは行きたくても行けない状況なのだ。設計者といっても、いろいろな状況で仕事をしているのが現実だ。設計を金儲けの手段ではなく、天職(プロフェッション)と考えている建築家に、相応の設計料を払って住まいづくりをいっしょにやることを見直してみませんか。

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