建築専門誌に、24時間換気のシステムの住宅でその機能を使いこなせていないとの記事が掲載されていた。私の設計例でも、敷地が幹線道路の近くの住宅で、24時間換気と空調を組み合わせたシステムをクライアントといろいろ検討して採用したのだが、クライアントが亡くなられて、その母上が主に住まわれるようになってからは、こちらがいくら説明しても、24時間スイッチを点けっぱなしという事に抵抗を持たれて、窓を開けて換気されている。ご高齢である母上は、今のところその日の天候に気を配りながら、窓を開けたり閉めたりされている。それによって、季節の移り変わりを楽しんでいるとも言える。快適な人工環境にずっといるより、よっぽど豊かな生活を送っていると言える。便利になって得る事と失う事を常に意識していないと、つい楽な方へ流されて本質を見失う。24時間換気のシステムは、何年か後には役に立つときが来るとは思うが。